【クラウド移行術】VMware HCXを活用して、IPアドレス構成を保持したままクラウドへ移行しよう

 

こんにちは、ITママです。

最近、子どもがようやく宇宙語をしゃべってくれるようになりました。最初は「ママ」かな?「パパ」かな?それとも大好きな「アンパンマン」かな?とワクワクしていたら、一番はっきり発音したのは、「乾杯!」でした。

違う意味で、酒飲みのパパは大喜びでした。

 

これからどんな言葉でお話してくれるのか、今から楽しみです。

 

 

 

さて、今回はVMware HCXを活用して、IPアドレスを保持したままオンプレミス仮想環境からクラウドへ移行する方法をお伝えしていきます。

 

オンプレ仮想環境からクラウドへの移行は、ますますそのニーズを高めています。システムの多くは、IPアドレスを変更したくない、あるいはそもそも変更できない仕様になっていますが、一方で、たとえばネイティブAWS環境では、IPアドレス構成を変更しなければなりません。

 

IPアドレス構成を保持したまま、クラウドへの移行を成功させるには、どうしたらよいのでしょうか?そこで登場するのが、今回解説する「VMware HCX」を利用した移行方法です。さっそく詳細を見ていきましょう。

 

VMware HCXとは

VMware HCX(以下HCX)とは、オンプレミス環境とVMware vSphereベースのクラウドデータセンター(VMware Cloud on AWSなど)間をシームレスにつなぎ、アプリケーションの移行などを簡単に実現してくれるSaaS製品です。

 

アプリケーションのIPアドレス構成を保持したまま、ダウンタイムなしでも移行を実現してくれます。

 

また、最大の特徴としては、vSphereのバージョン差分を吸収してくれるという点が挙げられるでしょう。たとえば、旧バージョンのvSphereをオンプレミスで運用しており、最新vSphereベースのクラウドデータセンターへ移行したい場合でも、HCXを活用すれば、バージョンの違いを気にすることなくアップグレード環境へ移行させることができます。

 

HCXによる移行方式

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HCXによる3つの移行方式

HCXには上記の画像どおり、3つの移行方式が存在します。

 ①vMotion

vMotionによる移行では、無停止で移行が可能です。ただし、オンプレミス側に仮想マシンVM)を残さないという点には注意しなければなりません。

 ②Bulk Migration

Bulk Migrationの場合、切り替え時の電源オフ・オンのみVMが停止されます。また、クラウド側には仮想マシンの「コピー」を残すため、オンプレミス側には元の仮想マシンが残っている状態になります。名前のとおり、複数のVMを同時に移行させるような場合に最適です。

 

個人的には3つの移行方式のうち、Bulk Migrationがおすすめです。ダウンタイムはほとんどなしで、何かあった場合の保険もかけられます。

 ③Cold Migration

Cold Migrationでは、仮想マシンは全停止されます。Bulk Migrationと同様、オンプレミス側に仮想マシンが残ります。

Bulk Motion完了後「ファイルのロックに失敗しました」というエラーが表示された場合

先日、実際にHCXのBulk Migrationをやってみましたが、完了後にあるエラーが表示されました。それが「ファイルのロックに失敗しました」というエラー。このエラーが表示されると、移行元であるオンプレのVMをパワーオンすることができません。

 

対処法としては、以下2つのパターンがあります。

  1. 該当仮想マシンをインベントリから削除して、再登録する
  2. 該当仮想マシンを別のESXiホストに移動する

 

詳しくは、こちらのKBを参考にしてください。

kb.vmware.com

 

VMware HCXを活用すれば、クラウドとの連携をシームレスに行うことができます。ハイブリッドクラウド環境の構築や、クラウドへの移行を考慮しているのであれば、ぜひHCXの活用を検討してみてください。